不動産のプロだけが使う「共通のデータベース」：レインズとは？

私たちがインターネットで物件を探すとき、たくさんの不動産会社のサイトを見ますよね。でも、その情報がどこから来ているのか、疑問に思ったことはありませんか？

「レインズ（REINS）」は、正式名称を「不動産流通標準情報システム」といい、国が定めたルールに基づいて運営されている、不動産会社専用の物件情報交換システムのことです。

簡単に言えば、**「日本全国の不動産会社が、売買や賃貸に出ている物件情報を持ち寄って、共有するための巨大なオンライン図書館」**のようなものです。

一般の人は直接このシステムを見ることはできません。だからこそ「秘密の仕組み」と表現しましたが、これは一部の会社だけが得をするためのものではなく、**「不動産取引全体の透明性を高め、消費者である私たちを守るため」**に作られた、とても重要なシステムなんです。

なぜレインズが生まれたの？不動産取引の「モヤモヤ」を解消！

レインズが誕生する前、不動産の取引は、今よりもっと不公平で不透明なものでした。

昔の不動産取引のモヤモヤ：

• 物件情報が独り占めされがち：ある不動産会社が「この家を売ります」という依頼を受けると、その会社だけが情報を抱え込んでしまい、他の会社には知らせない、ということがありました。
• 「囲い込み」という問題：情報を独り占めしていると、他の会社から「お客さんがいるから紹介させてほしい」と言われても、「いや、うちで直接売るから」と断ってしまうことがありました。これを「囲い込み」と呼びます。

結果として、「本当に高く買ってくれる人」や「本当に買いたい人」に出会えず、売主さんは損をし、買主さんは物件を見逃すという、誰も得をしない状況が起こりがちでした。

この「情報の不透明さ」や「囲い込み」といったモヤモヤを解消し、**「すべての物件情報をオープンにし、公平な競争を促す」**ために、レインズは作られました。

家を「売る人」にも「買う人」にもメリット大！レインズの目的

レインズの最大の目的は、**「不動産取引をより早く、より良い条件で成立させること」**です。

具体的に、私たち消費者にはどんなメリットがあるのでしょうか？

① 家を「売る人」（売主さん）のメリット

家を売却するために不動産会社に仲介を依頼すると、その会社は法律（宅地建物取引業法）に基づき、物件の情報を**「決められた期間内に必ずレインズに登録する」**ことが義務付けられています（※特定の契約形態の場合）。

これにより、物件の情報はすぐに全国の不動産会社に共有されます。

• 早く、高く売れる可能性アップ！：情報がオープンになることで、全国の不動産会社の「お客様」全員が対象になります。つまり、より多くの買い手に見てもらえるため、「この家が欲しい！」という人を見つけやすくなり、結果としてより良い条件（高い価格など）で、早く売却できる可能性が高まるのです。

② 家を「買う人」（買主さん）のメリット

• 市場にある物件を幅広く検討できる！：買主さんは、ある特定の不動産会社を訪れても、その会社が登録している物件だけでなく、レインズに登録されている市場に出ているほぼすべての物件情報を紹介してもらうことができます。「あの会社に行けば、もっといい物件があるかも...」と何軒も回る必要がなくなり、効率的に「理想の家」を探すことができるようになります。

損をしないために！初心者が知っておきたい「レインズの活用」

レインズを直接使うことはできませんが、私たちが不動産会社と話を進める上で、この仕組みを活用することは可能です。

不動産の売買契約を結ぶ際、不動産会社との間で「媒介契約」というものを結びます。

家を売る場合：

もし担当の不動産会社がレインズへの登録を渋ったり、「まだ登録していません」と変に時間をかけたりしていたら、それは「囲い込み」をしているサインかもしれません。「いつレインズに登録されるのか」、**「レインズに登録されたことを証明する書類（登録証明書）を見せてほしい）」**と尋ねてみましょう。この一言が、あなたの不動産取引を守る大切な一歩になります。

家を買う場合：

「市場に出ているすべての情報の中から、一番自分に合った物件を紹介してほしい」という意思を、担当の営業マンにしっかり伝えましょう。レインズの情報にアクセスできるプロだからこそ、あなたに最適な選択肢を提示してくれるはずです。